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2023.02.01 HEALTH

腸に大事な酪酸菌を増やす食べ物とは?腸内の環境を整えて免疫力を高めよう

腸内の環境を調えるには、食べ物から「酪酸菌」という存在を増やす必要があることをご存知ですか?乳酸菌やビフィズス菌とは違う、腸のためになる細菌を、特徴や働きといっしょにご紹介しますね。増やす方法もチェックして、ぜひからだのために役立ててみてください。

大腸にとって大事な存在とされる細菌「酪酸菌」とは

食物繊維から酪酸をつくる腸内細菌のこと

酪酸菌とは、食物繊維から「酪酸」という成分をつくる細菌のことです。私たちの腸内に、数多く生息する細菌のひとつといえます。しかし、およそ1000種類、100兆個も生息しているなかで、食べ物に含まれる食物繊維を発酵・分解して酪酸にできるのは、酪酸菌だけなのです(*1)。

酪酸菌の働きが注目されるようになったのは、ここ最近のことです。腸内フローラの研究が進むなかで、乳酸菌やビフィズス菌とは異なる働きがフォーカスされるようになりました。

(*1)は、厚生労働省「e-ヘルスネット(腸内細菌と健康)」より参照しました。

腸内フローラを健康的に維持するのに必要

酪酸菌は、腸内フローラを健康的に維持するのに必要な存在でもあります。腸内に生息しているさまざま細菌は、大きく3つに分かれます。からだにとって良い存在である「善玉菌」、悪い影響をあたえる「悪玉菌」、どちらでもない「中間の菌」の3つです。

酪酸菌は、善玉菌として扱われる存在です。からだに良い働きをするだけでなく、ある程度の数が存在することで腸内フローラのバランスを保ち、健康を維持してくれます。そのため、食べ物などを改善して、酪酸菌を増やすのは大切なことなのです。

食材から摂取するのは難しい

からだにとって大切な存在である酪酸菌ですが、食材から摂取するのは難しいものです。たとえば、ヨーグルトや乳酸菌飲料などの食材からは、生きたビフィズス菌や乳酸菌が摂取できます。

しかし、いろいろな食べ物をチェックしても、生きた酪酸菌を含むものはわずかです。そのため、毎日の食事から酪酸菌を摂取して増やすのは、難しいといえます。酪酸菌を含む食材はバリエーションが少ないので、同じ食べ物を取り続けることになってしまいがちです。

食べ物や生活習慣の工夫で増やすのは可能

酪酸菌は、食べ物や生活習慣の工夫で増やせます。食材からそのまま摂取できないのであれば、増えやすい環境を整えれば良いのです。

食べ物を工夫する場合、腸内にもともと存在する酪酸菌を増やす働きのある食材をとるようにしましょう。生活習慣を工夫する場合は、運動する習慣を身につけつのがおすすめです。正しい方法で運動すれば、からだの中で酪酸菌を増やせるようになりますよ。

また、以下の記事では自宅でも簡単にできる運動を紹介しています。運動する習慣をつけたい方は、以下の記事も参考にしてみてください!

腸内の環境のために詳しく知りたい酪酸菌の働き

大腸のエネルギー源をつくり出す

酪酸菌がつくる酪酸は、主に大腸が正常な働きをするためのエネルギー源として使われます。大腸は、消化の最後の働きを担当する、大事な器官です。正常に機能しなければ、消化が不十分になってしまいます。

大腸が必要とするエネルギーの大半は、酪酸でまかなわれています。大腸の働きを維持するためにも、食べ物や生活習慣を工夫して、増やすようにしましょう。

水分やミネラルの吸収を助ける

食べ物などから酪酸菌を増やすことは、水分やミネラルの吸収を助けることにもつながります。消化の最終器官である大腸には、水分やミネラルを吸収する役割があるからです。

大腸のエネルギー源となる酪酸がなければ、食べ物から栄養をとっても、からだに吸収されなくなるおそれがあります。水分やミネラルをしっかり吸収するためにも、酪酸菌を増やすようにしましょう。

以下の記事では、ミネラルが含まれている飲み物を紹介しています。水分補給の際に何を飲めばいいか迷った方は、こちらの記事も参考にしてみてください!

悪玉菌が増えるのをおさえる

悪玉菌が増えるのをおさえることも、注目される働きのひとつに挙げられます。つくり出された酪酸が、腸内を弱酸性にキープしてくれるためです。腸内が弱酸性になると、悪玉菌が生息しにくくなります。また、善玉菌にとっては、逆に住みやすい環境になります。

からだの中に酪酸菌がいれば、悪玉菌が増える心配は下がります。悪玉菌と善玉菌のバランスを整えるためにも、食べ物や習慣を改善して、酪酸菌を増やすようにしましょう。

免疫機能をサポートする

酪酸菌には、免疫機能をサポートする働きもあります。食べ物に含まれる食物繊維を発酵・分解してつくられる酪酸には、ウイルスや病原体からからだを守る粘膜を生み出す効果があるとされています。

また、からだを守る抗体の分泌も助け、ウイルスや病原体が悪さをする前にキャッチする働きもあるといわれています(*2)。からだの免疫をサポートするためにも、酪酸菌を増やすことは大切です。

(*2)は、酪酸菌大百科「ウイルスから体を守る、免疫力アップと大腸バリアと『酪酸菌・酪酸』の関係」より参照しました。

食事に取り入れたい酪酸菌を増やす食べ物

酪酸菌を増やすには、毎日の食べ物を改善するのがいちばんです。酪酸菌のためになる食べ物を食事に上手に取り入れて、からだの中で増やすようにしましょう。おすすめの食べ物も紹介するので、参考にしてみてくださいね。

食べ物にぬか漬けを取り入れる

酪酸菌を増やしたいのであれば、毎日の食べ物に「ぬか漬け」を取り入れましょう。ぬか漬けは、酪酸菌をそのまま摂取できる、数少ない食べ物のひとつです。食事にぬか漬けを加えることで、からだの外から酪酸菌を補給できるようになります。

ぬか漬けは、米ぬかを使って野菜を漬け込む、日本人にとってなじみ深い食べ物です。市販のものを購入しても良いですし、ぬか床を育てて、自分好みの漬物をつくる方法もおすすめです。

水溶性食物繊維が多い食べ物をとる

水溶性食物繊維が多い食べ物をとることは、からだの中で酪酸菌を増やすのに役立ちます。食物繊維は、消化・吸収されることなく大腸まで届きます。とくに水溶性のものは、大腸の善玉菌の「エサ」として好まれます。

消化・吸収されずに大腸まで届いた水溶性の食物繊維は、酪酸菌のエサにもなってくれますよ。エサが充実すれば、数も増えやすくなりますね。水溶性の食物繊維が多い食べ物を、意識してとるようにしましょう。

    水溶性食物繊維が多い食べ物
  • 野菜(オクラ・いんげん豆・じゃがいもなど)
  • 熟した果物(プルーン・きんかん・キウイ・ももなど)
  • 海藻(わかめ・こんぶ・のりなど)
  • 穀物(大麦・オーツなど)

不溶性食物繊維が多い食べ物もおすすめ

食事に不溶性食物繊維が多い食べ物を取り入れるのも、おすすめの方法のひとつです。酪酸菌のエサにはなりませんが、消化せずに腸内をスッキリさせてくれます。酪酸菌が住みやすい環境を整えてくれるので、バランスよくとるようにしましょう。

    不溶性食物繊維が多い食べ物
  • 野菜(たけのこ・ごぼう・さつまいも・とうもろこしなど)
  • きのこ(えのき・干ししいたけ・きくらげなど)
  • 豆(おから・大豆など)
  • 穀物(玄米・雑穀・小麦ふすまなど)

以下の記事では、玄米を食べることのメリットを紹介しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください!

オリゴ糖を含む食べ物をとる

酪酸菌は、オリゴ糖を含む食べ物をとることでも増やしやすくなります。オリゴ糖も、酪酸菌のエサになる成分であるためです。野菜や果物などの食べ物に多く含まれているので、毎日の食事に取り入れてみましょう。

    オリゴ糖を含む食べ物
  • 野菜(ごぼう・玉ねぎ・にんにく・ねぎなど)
  • 果物(バナナ・りんごなど)
  • その他(はちみつ・きな粉など)

ビフィズス菌や乳酸菌を含む食べ物もとる

ビフィズス菌や乳酸菌を含む食べ物をとることも、酪酸菌を増やすことにつながります。また、ビフィズス菌や乳酸菌に限らず、発酵食品に分類される食べ物は、なるべく食事に取り入れるようにしましょう。みそやしょうゆ、酒などの、発酵させてつくる調味料も同様です。

いろいろな食べ物から菌をとることは、腸内の環境をよくします。酪酸菌を増やすために、住みやすい環境をつくる食べ物もとっていきましょう。

    ビフィズス菌や乳酸菌を含む食べ物
  • ヨーグルト
  • 乳酸菌飲料
  • チーズ
  • 漬物
  • キムチ

運動習慣の改善で酪酸菌を増やす方法

運動習慣を改善する方法も、酪酸菌を増やすのに効果的だといわれています。どんなタイプの運動を、どのくらい取り入れたらいいのかご紹介しますね。食べ物の工夫と一緒に試してみましょう。

有酸素運動を取り入れる

運動習慣を改善するなら、有酸素運動を取り入れるようにしましょう。ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなど、長い時間続けておこなうものがおすすめです。

有酸素運動をおこなうときは、息があがるぐらいの強度で続けてくださいね。軽くすませるよりも、酪酸菌を増やすのに、高い効果があると考えられています。

週に3回ほど取り入れる

酪酸菌を増やすための運動は、週に3回ほどおこなうようにしましょう。定期的にからだを動かすことで、より効果が期待できます。酪酸菌が増えても、運動をやめると減ってしまうこともあるので、気をつけましょう(*3)。

ちなみに、1回あたりの時間は、30~60分が目安です。気長に続けて、運動習慣を改善していきましょう。

(*3)は、酪酸菌大百科「食事や運動で腸内の酪酸を増やす!」より参照しました。

腸のストレッチも取り入れる

腸のストレッチを取り入れて、酪酸菌が増えやすい環境をサポートする方法もあります。お腹まわりを刺激して、胃腸の働きを助ける簡単な方法ですので、気になる方は試してみましょう。

    腸のストレッチのやり方
  1. 両手の指先を重ねて、お腹まわりをやさしく押します。
  2. お腹の右上・左上・左下・右下の順に押していきます。
  3. おへその周りも、時計回りにやさしく押していきます。
  4. 両手を上げて、背伸びしながら深呼吸を2回します。
  5. お腹をよく伸ばしたら、終了です。

酪酸菌を活用して毎日の健康をサポートしよう

酪酸菌は食物繊維を発酵・分解させて、酪酸がつくれる唯一の細菌です。食べ物から摂取することは難しいですが、からだの中を整えて、増えやすくすることが可能です。

増やし方のポイントは、食べ物と運動の習慣です。紹介した方法を参考にして、酪酸菌を増やす食べ物をできるだけ取り入れてみましょう。やや強めの運動を心がけることも大切です。酪酸菌を活用できれば、毎日の健康もサポートされていきますよ。